ヘリコプター搭載型漁船が シップ オブ ザ イヤー2015 受賞

KOYO MARU No.88

KOYO MARU No.88

ヘリ搭載型の最新鋭漁船
第88光洋丸が Ship of the Year 2015
漁船・作業船部門で部門賞を受賞しました。


【Ship of the Year 2015】

シップ・オブ・ザ・イヤーは
毎年日本で建造された船舶の中から
技術的・芸術的・社会的に優れた船を
選考して与えられる賞。

今年で26回目、予備審査を経て
5月31日に都内で応募作品発表会と
選考会が開催され
2015年度の建造船の中から
優秀船が決まりました。


【第88光洋丸】

本船は、太平洋とインド洋でカツオ・マグロ
を捕り -40℃で凍結保蔵し日本に持ち帰る
大型の海外まき網漁船です。

全長は約80m、ジャンボジェットと呼ばれた
B-747の全長約75mより、ちょっと長い!

国際総噸数は約1,900トン
船の総重量は約2,300トン
メインエンジンはディーゼル4,000馬力ですが
800kWの電動機で電気推進もできます。
1,120kW×2基と800kW×1基、合計3基の
発電機を搭載しています。


Koyo Maru no.88 Profile

KOYO MARU No.88 Profile

本船の基本設計を本格的に始めたのは
今から3年前の 2013年から
何度も何度も船主さんと打ち合わせを重ね
2014年6月に起工して、2015年3月に竣工
引き渡しを行いました。

難しい専門的なことは省きますが・・・
新聞報道によれば、今回受賞した理由として

最先端の船内パワーマネージメントシステム
最新の漁労システムと安全性、操業効率、
そして省エネを大幅に向上させた・・・
と報ぜられています。
(本船の基本設計者として・・・
とっても嬉しい評価を頂き 光栄です!)


海外まき網漁船は
カツオ・マグロを捕るために目視の他に
レーダーやソナーなどの電子機器を使って
魚群を見つけますが

本船は、それらに加え ヘリコプター を搭載し
広い範囲を上空から魚群探索をしたり、
魚群を追尾したり浮遊物の発見など
様々なシーンで漁労のアシストをしています。

その「搭載ヘリ」にスポットを当ててみます。


KOYO MARU No.88 Heli-01

KOYO MARU No.88 Heli-01

搭載ヘリは「ヒューズ 500」型

Model:Hughes 500C
定員:5名、長さ:9.4 m、ローター直径:8.03 m
高さ
2.48 m、空重量:493 kg
最大離陸重量:1,157 kg
Powerplant: 1× One Allison 250-C20
Turboshaft, 278 hp (207 kW)
最大速力152 knots (175 mph, 282 km/h)
巡航速度:125 knots (mph, 232 km/h)
最大飛行距離:605 km
最大到達高度:
4,875mRate of climb8.6 m/s

KOYO MARU No.88 Heli-02

KOYO MARU No.88 Heli-02

そもそも、小型の船舶に航空法や国内法を
満足する ヘリデッキの装備・認証は
不可能に近いです。

航空法では着艦(進入)から離艦(退出)まで
一方方向のルート内、垂直方向(高さ)30度
以内の範囲に障害物があってはならない・・・
(数値は記憶なので間違っているかも?)

航海灯やレーダーマストがある船舶では
これらをクリアーすることは極めて困難です。

そこで、航空法で言う正式なヘリポートは認証
されないので

ICAO(国際民間航空機関)の基準を準用し
ドクターヘリやサテライト病院などと同じ
「構築物上設置の場合」のカテゴリーを
流用しています。

船舶のほとんどは、レーダーマストなどの
本船の構造物を避けるために
進入ー退出方向を船首尾でなく、船幅方向で
確保しています。(最後に動画を載せます)

KOYO MARU No.88 Heli-03

KOYO MARU No.88 Heli-03

本邦200海里以内での飛行は禁止なので
日本に帰港中はメインローターを外して
機体下部のフロート間に格納しています。

KOYO MARU No.88 Heli-04

KOYO MARU No.88 Heli-04

メンテナンスのために、メインローターを
装着し、後部エンジンカバーを外している
ところです。

88Koyo Heli 003

この機体はグアムのヘリ・リース会社から
パイロット1名、整備士1名と共に
チャーターしたものです。

KOYO MARU No.88 & Heli

KOYO MARU No.88 & Heli

日本では荷揚げのために、静岡県焼津港
鹿児島県枕崎港または山川港に入港します。

KOYO MARU No.88 Departure

KOYO MARU No.88 Departure


KOYO MARU No.88 & Heli Bird eye 01

KOYO MARU No.88 & Heli Bird eye 01

洋上では本船と本船の搭載艇と連携して
魚群の発見や追尾に従事します。

KOYO MARU No.88 & Heli Bird eye 02

KOYO MARU No.88 & Heli Bird eye 02


最後に、ヘリの装備カメラで撮影した
着艦の様子を動画で見てください。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

東京で単身赴任生活をしている「船の設計屋」です。 多趣味で何にでも興味を持つ性格からブログエントリーは多種多様になると思います。